2026/03/24 21:00

写真屋をやっていると、よく聞かれる質問があります。

「どのレンズを使えば、バッチリ撮れますか?」

私は決まってこう答えます。

16-300mmくらいの高倍率ズームがいいですよ」と。

すると、多くの方は少し納得のいかない顔をしながら「そういうことじゃないんだよね、何だろう・・・もっとこう・・・プロが持つ【頼れる一本】みたいな魔法のレンズがあるんでしょ?」と聞いてきます。

でも、考えてみてください。

何を撮るのか、どこで撮るのか、光は? 距離は? そして何より、

「どんな完成形にしたいのか」

それが決まっていない状態で「これさえあれば」という一本を勧めるなら、

あらゆる状況をカバーできる高倍率ズームこそが、最も誠実な回答なのです。

 

私にとっての「魔法の一本」

確かに魔法の一本はあります。

最も多くの現場を共に歩んできた、手に馴染んだ一本、

EF 70-200mm f/4 L IS USM

花、動物、風景、人物・・・どんな現場にも必ず持っていく相棒です。

「魔法があるじゃないか!」

と突っ込まれそうですが、この魔法は私にしかかかりません。

長年使い続け、この画角に目が慣れ、自分の「好き」が詰まっているからこそ、

魔法になるのです。

 

「できないこと」は諦めていい

こんな質問をうけました。

「もし広角が必要な場面で望遠しか持っていない時、どう対応するのか?」

答えは潔く諦めます。

「できないこと」にリソースを割くより、

自分の土俵に来た被写体をフル回転で仕留める。

その割り切りが、結果として「外さない写真」に繋がります。

もちろん質問のような状況に陥らないように標準ズームや

その他のレンズを選んで持って行きます。

 

不自由が磨く感性

もし、あなたが今「いいレンズを使っているはずなのに、納得のいく写真が撮れない」

と行き詰まっているなら、一度単焦点一本で街に出てみてください。

28mm35mm50mm85mm90mm100mmなど多くの単焦点レンズが存在します。

ズームという便利さを捨て、「足」で構図を稼ぎ、自分の画角を見つける。

魔法のレンズは、カメラ屋の棚にあるのではなく、

あなたの習熟の先に見つかるものなのです。


【実戦ガイド】高倍率ズームレンズの代表格

「まずはこれ一本で自分の好きを探したい」という方におすすめの、2026年現在でも評価の高い代表的な高倍率ズームです。

TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD(各マウント)

広角から超望遠までこれ一本。近接撮影にも強く、万能の代名詞。

RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM(キャノンRFRF-Sマウント)

非常に軽量コンパクト。旅行やスナップで荷物を減らしたい時の決定版。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR(ニコンZマウント)

フルサイズ用ながら高い描写力。「高倍率は画質が・・・」という常識を覆す一本。

FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS(ソニーEマウント)。

広角24mmスタートが嬉しい。風景からイベントまで幅広く対応。


【目的別】レンズ選びの一般解

「完成イメージ」に近づくための、一般的なレンズの使い分け表です。

1.        ポートレート:85mm / 50mm 単焦点

背景を大きくボカし、人物を浮かび上がらせる。

2.        雄大な風景:14-35mm 広角ズーム

広い範囲を写し込み、遠近感を強調してダイナミックに描く。

3.        スポーツ・野鳥:100-400mm 超望遠

遠くの被写体を引き寄せ、圧縮効果で迫力を出すため。

4.        日常スナップ:35mm / 50mm 単焦点

人間の視野に近く、自然な空気感を切り取れる。軽量で機動力重視。

5.        料理・小物:60mm / 90mm マクロ

被写体に思い切り寄って、肉眼では見えない質感を描写するため。

 

【最後に】写真屋目線のアドバイス

そもそも「大伸ばしプリントやトリミング処理」をしないのであれば、

超高画質な高額レンズは不要かなと思う事があります。

L判プリントやモニター鑑賞がメインなら、「ほどほどのレンズ」の方が、

コスト的にもいろいろ楽しめると思っています。

私は、大きく伸ばす予定がない撮影では画素を下げたりもします。

データが軽い分、後の取り回しが楽ですし、プリントするにしてもL判の用紙に、

5000万画素の画質は反映されませんから。

皆さまも目的に合わせていろいろ遊んでみてください。