2026/02/10 09:00

いよいよ氷柱撮影の当日!

「よし、出発だ!」 カメラバッグを背負い、意気揚々と玄関から飛び出す。

同時に背後から強烈な呼び声が引き止めた。

「ちょっとあんた!行く前に洗濯物取り込んで、ついでにゴミも出しちゃってちょうだい!」

……これである。 10年ぶりに実家から機材を引っ張り出す代償は、思いのほか重かった。

母の言いつけは絶対だ。

一眼レフを一度置き、手慣れた手つきで洗濯物を畳み、指定のゴミ袋を両手に提げて集積所を往復する。

ひと段落ついて、ようやく解放されるかと思いきや、台所から美味しそうなソースの香りが漂ってきた。

「あんた、お昼食べていくでしょ? 準備できてるわよ」

慌てて時計を見ると、時刻は1130。 「……あれ? 芦ヶ久保までって、うちから2時間以上かからなかったっけ?」

頭の中で西武線の時刻表が高速回転する。

今すぐ出ればライトアップには間に合うし、日中の撮影も楽しめる。

だが、目の前には母が腕によりをかけた「特製・大盛り焼きそば」が鎮座している。

ここで断れば、さらなる小言のロスタイムが発生するのは明白だ。 私は覚悟を決め、紅生姜の山を崩しながら焼きそばを胃袋へと流し込んだ。

「ごちそうさま! 行ってくる!」

口の中にソースの余韻を残したまま、私は今度こそ実家を飛び出した。

「忘れ物ないわよね! 漬物よ、漬物!」と母の威勢のいい声が追いかけてくる。

 

最寄り駅のホームで、私はスマホの乗り換え案内と睨み合っていた。

ここから芦ヶ久保までの生存戦略を立てなければならない。

  • プランA 特急「ラビュー」利用。所要時間50分。……が、次の特急まで30分待ち
  • プランB 5分後に来る各停を乗り継ぐ。所要時間1時間20分。

「待てよ……30分待って特急に乗っても、結局着く時間は各停と大差ないじゃないか」

ちょっと悪い展開になってきた。

 

ようやく芦ヶ久保駅に降り立ったのは、1530。 「……いや、笑えねーよ」

日中の観覧終了は1630分。残り1時間。

だが、試練は続く。

駅前のチケット売り場には、私と同じく「滑り込み」を狙う人々の列。

チケットを買うまでに5分、そこから氷柱の入り口まで、重いカメラバッグを背負って歩くこと約10分。

会場の入り口に立ったとき、時計の針は無情にも1545を指していた

 

もう焦ってもしょうがない、時間が許す限り撮影していこう。


メイン会場:広大に広がる氷柱群が圧倒的な迫力


メイン会場にて:望遠を使って色々と観察していると思わぬ風景に出会える


横に育つ氷柱は強風のせい?


細かい枝を取りこみ様々な造形美を見せてくれる


幾重にも連なる氷柱たちの深部を覗いてみると、なかなかに神秘的な姿を見せてくれる


まだ透明度が高い氷柱もこれから時間をかけ密度を増し青みを帯びていく



思ってた以上に楽しめた。

後はライトアップの撮影を残すのみである。