2025/09/30 09:00


はじめに友人の結婚式で写真撮影を頼まれた時の話を聞いてください。

写真は昔から好きで、花や風景を撮ってはいましたが、人物を撮るのは初めて。しかも、室内での撮影は未知の領域でした。

当時はまだフィルムカメラしかない時代で、撮影方法をしらべました。

「自然な雰囲気を残そう」

なんて書いてる雑誌があったのでそれを参考にしました。

「ストロボは被写体に直接あてない」

と書いてあったのをストロボは使わないと勘違いしました。すでに失敗は始まっていました。

装備は一眼レフカメラに28-70mmの標準ズームレンズのみ。そこにISO800の高感度フィルムをセットして挑みます。

いざ結婚式!私が撮影できるのは客席からのみで、しかも座った状態でという事でした。

式場専属のカメラマンが滞りなく結婚式を撮影していました。

俺の本番は披露宴から!と息巻いていたのですが・・・そういえば結婚式って初めて来たよなぁ。あれ?披露宴って何するんだ???

披露宴が始まり新郎新婦の入場(撮りそこねた)から始まり、2人の出会いまでを綴ったスライドショーをぼんやり眺め、お色直しに退場する新婦を尻目に出された料理に舌鼓を打つ。

新婦が戻ってから披露宴は目まぐるしく進行していきます。

事前に打ち合わせをしていなかったのが仇となり、披露宴の進行が分からずシャッターチャンスを逃しっぱなし。さらに、撮影場所をうまく確保できず右往左往、他のお客様の邪魔になってしまうこともありました。

そして、一番の問題はストロボを使わなかったこと。

会場の照明が暗かったため、写真は全体的に黄色っぽく、暗かったりブレていたり、自然な雰囲気どころではない失敗作を量産してしまいました。

せっかくの晴れ舞台を台無しにしてしまい、友人に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。友人曰く、他にも撮影を頼んでいるから大丈夫だそうで助かりました。

さて、失敗したなら考えねばなりません、失敗を繰り返さない方法を!

 

現代のカメラなら、もっと素敵な写真が撮れる

あれから20年以上がたち、今ではデジタル一眼レフが主流になりました。

フィルムの感度に悩む必要はなく、その場で最適な感度を調整できます。そして、ストロボも積極的に使うべき機材だと学びました。

ストロボの光を天井や壁に反射させる「バウンス撮影」というテクニックを使えば、光が柔らかく拡散し、被写体の影を抑えつつ、自然で美しい写真を撮ることができます。

最近ではスマートフォンのカメラも高性能になりました。大伸ばしには向きませんが、スライドショーやL判プリントにするスナップ写真なら十分なクオリティです。なにより、大きなカメラを向けられるよりもリラックスした表情を撮れるのが大きなメリットです。

 

結婚式(披露宴)撮影の機材選び

結婚式・披露宴の撮影は、一瞬の感動を逃さず、様々な環境下で最高のクオリティの写真を残す必要があるため、機材選びが非常に重要になります。

と、いうわけで必須となる機材とアクセサリーをやり過ぎなくらい解説していきます。

1. カメラボディ(本体)

ウェディング撮影では、暗い会場でも高画質でノイズの少ない写真を撮るため、フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラが主流です。

【メインカメラ】

フルサイズミラーレス機 : 高速AF(オートフォーカス)と高感度性能(ISO感度を上げてもノイズが少ない)に優れているモデルを選びます。

: Canon EOS Rシリーズ、Sony α7シリーズ、Nikon Zシリーズの高性能モデル。

【サブカメラ(予備機)】

必須 : メインカメラの故障やトラブルに備えて、必ず予備機を用意します。

メイン機と同じメーカー、できればバッテリーやレンズが共通で使える同シリーズのモデルにすると、現場での混乱を防げます。

レンズを付け替える手間を省くため、広角と望遠のレンズをそれぞれ装着した2台体制で撮影に臨むカメラマンも多いです。

 

2. レンズ

シーンに応じて使い分けられるよう、複数のレンズを用意します。F値(絞り値)が小さい(例: F2.8F1.4など)明るいレンズが、暗い室内での撮影では特に重宝されます。

【標準ズームレンズ(必須)】

焦点距離 : 24−70mm または 24−105mm 程度

F: F2.8通し(全焦点距離でF2.8が使える)

特徴 : 会場全体、集合写真、新郎新婦のポートレートなど、撮影のほとんどをカバーできる万能レンズです。

【望遠ズームレンズ】

焦点距離 :  70−200mm 程度

F値 : F2.8通しが理想

特徴 : 挙式中など、新郎新婦から離れた場所から、表情や指輪交換の瞬間などを逃さずクローズアップするのに使います。

【単焦点レンズ(任意・表現の幅を広げる)】

焦点距離 : 35mm50mm85mm など

F値 : F1.2F1.8など極端に明るいもの

特徴 : 背景を大きくぼかし(ボケ)、ドラマチックで芸術性の高いポートレートや、小物撮影に使います。

【広角レンズ(任意・集合写真や会場全体撮影)】

焦点距離16−35mm 程度

特徴 : 広い会場全体を写したり、大人数の集合写真を撮る際に便利です。

 

3. ライティング機材(照明)

結婚式場や披露宴会場は光量が不足していることが多いため、ストロボ(フラッシュ)は必須です。

【クリップオンストロボ(外付けフラッシュ)】

特徴 : カメラの上部に装着するフラッシュです。天井や壁に向けて光を反射させる「バウンス撮影」で、自然で柔らかな光を作り出すのが一般的です。

重要 : 光量が十分で、TTL(自動調光)の精度が高いメーカー純正か、信頼できる外部メーカーのフラッグシップモデルを選ぶと安定します。

 

4. 予備機材・アクセサリー類(重要)

長時間かつ失敗が許されない撮影のため、予備とバックアップは徹底します。

【バッテリー(カメラ・ストロボ用)】

必須 : 予備バッテリーは最低でも3個、できれば5個以上フル充電した状態で用意します。撮影中に電池切れは許されません。

【メモリーカード】

必須 : 大容量(128GB以上)で書き込み速度が速く、信頼性の高いメーカーのものを用意し、複数枚持ちます。

カメラの2枚同時記録機能(ダブルスロット)を必ず利用し、データを二重に記録してバックアップを取ります。

【三脚・一脚】

三脚 : 集合写真や、会場の雰囲気をスローシャッターで撮りたい場合、または動画撮影時に使います。

一脚 : 望遠レンズ使用時の手ブレ軽減や、機動性を保ちつつ安定させたい場面で便利です。

【カメラバッグ】

機材を安全に運び、現場で素早くレンズ交換などが行えるよう、収納力と機動性を兼ね備えたバッグが必要です。

 

最後に

結婚式は一生に一度の晴れ舞台です。もし、友人にウェディングフォトを頼まれたら、事前の準備と機材選び、そして撮影テクニックをしっかり学んで、最高の思い出を切り取ってあげてください。