2025/09/23 09:00
秋の気配を感じ始める頃、鮮やかな赤色で風景を彩る彼岸花。別名、**曼珠沙華(まんじゅしゃげ)**とも呼ばれます。この美しい名前は、仏教の経典に由来し、「天界に咲く花」を意味します。
見る人に災いや不吉をもたらすとされる一方、その燃えるような色合いは、まるで天国に咲く花のように神秘的です。
曼珠沙華撮影のテクニック
撮影に臨むなら、まずはその場所に合った機材と撮影法を知っておくことが大切です。
1. 広大な群生地を撮るなら広角レンズ
一面に広がる彼岸花の絨毯をダイナミックに写したい場合は、広角レンズが適しています。青空をバックに低いアングルから見上げるように撮ると、花畑の壮大さが強調されます。
また、あえてディストーション(歪み)の強いレンズを使用して高い木々に囲まれた場所を低アングルで撮影するのも面白いです。
ちなみに魚眼レンズは沢山の物が写りすぎてしまいうるさくなってしまいました。
撮影エピソード1: 群生地は多くの人で賑わうため、人物が写り込んでしまうことがあります。そんな時は、NDフィルターを活用してみましょう。NDフィルターを使ってスローシャッターで撮影すると、歩き回る人々が写らず、彼岸花だけが浮かび上がる幻想的な写真を撮ることができます。
ただ風が吹くと彼岸花も形が消えてしまうので気を付けましょう。
2. 一輪の花に迫るなら望遠レンズ
特定の株や、遠くにある花をクローズアップして撮影したい場合は、望遠レンズがおすすめです。背景にどのような色彩を配置するかが重要で、それにより作品の雰囲気がガラリと変わってしまいます。
背景を大きくぼかすことで、花が際立つ撮影において、主役を生かすも殺すも背景次第なのです。
また、彼岸花の望遠撮影では被写界深度に気を付けましょう。大きく開いた雄しべが何かと厄介で、どこからどこまでピントを合わせればいいか惑わせます。基本としては手前の雄しべにしっかりとピントを合わせて、雌しべまで被写界深度を保つように絞りを調整してください。
撮影エピソード2: 群生地を少し離れた場所にひっそりと咲く彼岸花を見つけると、生活の中に溶け込むその姿に心が惹かれます。畦道や民家の庭先に咲く彼岸花は、群生とはまた違う、しみじみとした美しさがあります。
光を味方につける撮影術
彼岸花の撮影には、光の使い方が重要になります。
朝のやさしい光を活かす: 早朝の撮影は、やわらかい光に恵まれるためおすすめです。特に逆光で撮ると、花びらの透明感が強調され、光に透ける様子が神秘的な印象を与えます。朝露に濡れる姿を望遠で狙うのも楽しいです。
夕日に燃える彼岸花: 朝も良ければ夕方も良い、それが曼殊沙華。オレンジ色の光の中で、なおも赤く燃える姿にシャッターが止まらなくなります。葉の緑とのコントラストも相まって幻想に満ちた写真が撮れるでしょう。
関東近郊のおすすめ名所
ここでは、関東で彼岸花が美しい名所と曼殊沙華まつりをいくつかご紹介します。
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埼玉県日高市・巾着田(きんちゃくだ)
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祭り名: 巾着田曼珠沙華まつり
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開催期間(2025年): 9月19日(金)~10月5日(日)
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詳細: 日本最大級とされる約500万本の彼岸花が咲き誇る、関東で最も有名なスポットの一つです。見頃の時期は入場料が必要になる期間があります。
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埼玉県幸手市・権現堂公園(ごんげんどうこうえん)
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祭り名: 幸手曼珠沙華まつり
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開催期間(2025年): 9月20日(土)~10月5日(日)
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詳細: 約300万本の彼岸花が堤を赤く染め上げます。期間中は「峠の茶屋」が毎日営業しており、散策を楽しみながら休憩できます。
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東京都府中市・府中市郷土の森博物館
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祭り名: 郷土の森 曼珠沙華まつり
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開催期間(2025年): 9月13日(土)~10月5日(日)
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詳細: 園内には約40万株の彼岸花が群生しており、期間中には特別呈茶や地元の太鼓の演奏会など、様々なイベントが予定されています。
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埼玉県横瀬町・寺坂棚田(てらさかたなだ)
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祭り名: 寺坂棚田 彼岸花まつり
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開催日(2025年): 9月28日(日)
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詳細: 秩父盆地で最大の棚田に彼岸花が咲き、美しい風景が楽しめます。このお祭りは1日限定で、地元の農産物販売などが行われます。
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栃木県茂木町・城山公園(しろやまこうえん)
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祭り名: 彼岸花ウィーク
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開催期間(2025年): 9月23日(火・祝)~10月5日(日)
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詳細: 約55万本の彼岸花が斜面一面に咲き、遊歩道から鑑賞できます。期間中、城山公園への車の乗り入れは規制され、臨時駐車場からシャトルバスが運行されるようです。
開花状況は天候によって変動するため、お出かけ前には各公式サイトなどで最新情報を確認することをおすすめします。
撮影エピソード3: 以前、巾着田で三脚を立てて撮影していたら、偶然隣に友人がいることに気づきました。久しぶりの再会に話が弾み、結局撮影そっちのけで、屋台でビールを飲み始めてしまいました。
ちょうど曼殊沙華まつりが開催されていたのがいけなかったです。
お祭りの賑やかな雰囲気と、美しい彼岸花のコラボレーションもまた、思い出に残る一枚になります。
最後に
例年、彼岸花は9月中旬から下旬にかけて見頃を迎えます。
しかし、天候や気温に左右されるため、最新の開花状況は訪れる前に各名所の公式ウェブサイトなどで確認することをおすすめします。
2025年も、その年の気候によって開花の時期が前後する可能性があります。
この秋、あなたもカメラを片手に、彼岸花の美しい一瞬を切り取ってみませんか?