2025/07/01 21:00

 

 

 

前回のブログでは、なぜアイドル撮影OKの現場では「写真だけ」「動画だけ」といったルールがあるのかを勝手に深読みしてみました。

 

そこには運営側の販売戦略が巧みに組み込まれていて・・・云々と唱えてきましたが、もう少しだけ深読みしてみようと思います。

 

今回取り上げるのは撮影に使う機材です。

 

大きく「スマートフォン」と「デジタル一眼レフカメラ」に分けていきましょう。

 

 

スマートフォン:


主にイベントでのミニライブや単独ライブ内の撮影コーナー、その他幅広い場面で使用が許可されます。


 

デジタル一眼レフカメラ:


フェスなど多くのアイドルが集まるイベントでの使用が主なところです。


会場後方に撮影スペースが設けられ、その場所からのみ撮影が許可されるケースもあります。


 

なぜ、運営は「スマホ」と「一眼レフ」を明確に使い分けようとするのか?

 

会場の問題なのか、商品展開の一環なのか、そもそも「アイドルが売れる」というのはどういう状態なのか?

 

考えるまでもなく、多くのファンを獲得することがグループの人気に直結します。

 

「そんな当たり前の事しか言わんのか!」と同士諸君につっこまれそうだが、そこに撮影機材が係わっているとしたら!?

 

これこそが我々の推しへの愛を利用した二段構えの巧妙な戦略であり、「沼」への誘いなのです。

 

 

 

(1)「スマホ」に託された役割:【入口】としての”手軽な拡散”戦略


 

現代のアイドル運営にとって「スマホ」は、新規ファンを獲得するための最強の”飛び道具”である。

 

 

狙い①:即時性と"編集"による圧倒的な拡散力

 

ライブが終わった直後、興奮冷めやらぬうちに「今日の推し、最高だった!」「この曲エモすぎ!」という熱い感想と共に、スマホで撮った写真や動画がSNSに溢れかえる。

 

このスピード感と熱量は、どんな公式レポートよりも早く、広く、そして「リアルな声」として世間に届く。

 

さらに、ここで強力な武器となるのが「編集アプリ」の存在だ。

 

もはやファンにとって、撮影した写真や動画に一工夫を加えて付加価値を高めるのは当たり前の時代。

 

キラキラしたフレームで推しを飾り、テロップで曲名やグループ名、メンバーの魅力的なプロフィールを紹介する。

 

時にはナレーションを入れて「この落ちサビの表情を見て!」と見どころを分かりやすく解説することさえある。

 

こうした「魔法」がかけられた写真や動画は、単なるライブの記録ではない。

 

初めてそのアイドルを見る人にも魅力が瞬時に伝わる、いわば「アイドルとファンで作る、新しいコンテンツ」へと進化するのだ。

 

運営にとって、ファンが自主的に作成・拡散してくれる、この上なく質の高い「布教ツール」ほどありがたいものはない。


 

狙い②:誰でも「撮れる」という気軽さがキミの背中を押すぞ

 

「本格的なカメラは持ってないけど、スマホでなら…」というライトなファンは非常に多い。

 

「ライブに行けば、記念に推しの写真や動画が撮れる」という事実は、チケット購入の最後の一押しになる。

 

ライブ参加へのハードルをグッと下げる効果があるのです。

 

特に「動画OK=スマホのみ」というルールは、「パフォーマンスの雰囲気を切り取って、気軽にシェアしてね!」というメッセージの表れだろう。

 

 

 

(2)「一眼レフ」に託された役割:【沼】への”深化”と”固定”戦略

 

 

一方で、「一眼レフ」の扱いはスマホとは全く違う。こちらはファンをより深く、長く応援してくれる”コアファン”へと育てるための戦略だ。

 

 

狙い①:「作品」によるグループのブランド化

 

腕利きのファン(通称:カメコ)が撮る一眼レフの写真は、もはや単なる記録じゃない。

 

光と影を捉え、推しの一瞬の表情を切り取ったそれは、一つの「作品」だ。

 

こうした高品質な写真がSNSで拡散されれば、「このグループはビジュアルのレベルが高い」「世界観がしっかりしている」というグループのブランドイメージ向上に直結する。

 

運営は、腕利きのファンを「非公式の公認カメラマン」として、ある意味で頼りにしているわけだ。

 

 

狙い②:「カメコ」という優良顧客の育成

 

数十万円もする機材に投資し、最高の写真を撮るために何度も現場に足を運ぶ。

 

そんなカメコは、運営にとって非常にありがたい”超”優良顧客だ。

 

「撮影」という目的が、彼らのライブ参加への強力なモチベーションになる。

 

後方に「撮影エリア」を設けるのは、もちろん他の観客への配慮が第一だが、同時に「あなたたちのための特別な場所ですよ」という優越感と承認欲求を満たす効果もある。

 

売れ残りがちな後方席を「撮影OK」という付加価値で埋める、という実にクレバーな戦略でもあるのです。

 

 

狙い③:フェスでの”大盤振る舞い”のワケ

 

フェスでは突如として至近距離での本格機材OKという「お祭り状態」になることがある。

 

これは、フェスが様々なグループのファンが集まる「アイドル見本市」という側面を持っているからだ。

 

ここで出し惜しみはできない。

 

「はじめまして」のお客さんに対して、最高のパフォーマンスと、それを切り取るための最高の撮影環境を提供する。

 

ファンが撮った最高の「作品」がSNSでバズれば、一撃で知名度を爆上げできる可能性がある。

 

これは、単独ライブとは目的が全く違う、短期集中型の広告戦略に他ならない。

 

 

 

まとめ:手のひらの上で踊るボクら!だが、それがいい!

 

 

こうして見てみると、自分も含めファンというのは、運営の巧妙な販売戦略の上で見事に踊らされているのかもしれない。

 

 

○スマホで手軽に撮り、アプリで魔法をかけて「楽しそう!」と思わせて入口を広げ、

 

 

○一眼レフで「作品」を追求させ「もっと良い写真を撮りたい!」と沼に引きずり込み、ファンとして定着させる。

 

 

なんと見事な戦略だろうか。

 

 

だが、それがどうした!運営の戦略を理解した上で、そのルールの中で創意工夫を凝らし、最高の推し活を追求するのもまた一興じゃないか。

 

スマホで気軽に応援するのも、デカいレンズを抱えて最高の瞬間を追い求めるのも、どちらも等しく尊い「推しごと」なのだ。

 

大切なのは、機材の優劣じゃない。

 

推しへの愛と、周りのファンへのリスペクトを忘れずに、自分なりのスタイルで応援し続けること。

 

さあ、尊い推しの手のひらで踊ろうじゃないか!

 

 

 

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