2025/06/10 09:00
こんにちは!暑くなってきましたね。
昨今の夏が暑すぎて写真を撮りに行くのも考えてしまいます。
そんな時におすすめしたいのが水族館です。
暑い夏に涼しい館内でお魚さんたちを愛でる、ついでに撮影。
避暑と癒しと趣味を同時に楽しみ、帰りにビールでも飲んで帰る・・・最高じゃないですか。
ただ喜んでばかりもいられません。だって水族館は撮影に不向きな場所だから。
水族館特有の薄暗さ、魚たちの素早い動き、そしてガラスの反射といった課題に直面し、「難しい…」と感じることも少なくないはず。
だけどご安心ください。
今回はデジタル一眼による水族館撮影を、より楽しむためのヒントをお届けします。
(1)理想の相棒を見つける:レンズ選びのポイント
水族館撮影の成否を分けると言っても過言ではないのがレンズ選びです。
【とにかく明るいレンズが強い味方】
水族館は光量が限られているため、より多くの光を取り込めるF値(絞り値)が小さいレンズが理想的です。
F値が小さいほど、暗い場所でもシャッタースピードを稼ぎやすく、被写体ブレを抑えたクリアな写真を撮ることができます。
具体的には、F1.8やF2.8といった表記のレンズがおすすめです。
【ボケを活かすなら「単焦点レンズ」】
ズーム機能は備えていませんが、その分明るく、背景を美しくぼかした印象的な写真を撮影できるのが単焦点レンズの魅力です。
特に「50mm F1.8」や「35mm
F1.8」といったレンズは、比較的リーズナブルながらも高い描写力を誇り、魚たちを主役に据えた作品作りに貢献してくれるでしょう。
【利便性重視なら「ズームレンズ」】
様々な距離の被写体に対応できるズームレンズは、確かに便利です。
しかし、F値が変わらず明るさを保てるズームレンズ(F2.8通しなど)は、高価でサイズも大きくなる傾向があります。
もしお持ちであれば、積極的に活用しましょう。
【小さな命をクローズアップ「マクロレンズ」】
ウミウシや小さなエビ、カニなど、肉眼では捉えにくい微細な生物を大きく写し出したいなら、マクロレンズが最適です。
普段見ることのできない魚たちの表情や細部の美しさを発見できるかもしれません。
【イルカショーをダイナミックに「望遠レンズ」】
イルカショーを撮影するには、望遠レンズが有効です。
70-200mmや70-300mmといった焦点距離のレンズが一般的です。
屋外のショーであれば日中の光量が期待できますが、屋内や天候によってはやはり明るいレンズが有利になります。
手ブレ補正機能が付いていると、より安心して撮影に臨めます。
【おすすめのレンズタイプ】
上記を踏まえ、具体的なレンズのタイプとしては以下のようなものが考えられます。
•大口径標準単焦点レンズ (例:
50mm F1.8、35mm F1.8など)
oメリット:明るく、比較的小型軽量で安価。背景をぼかしやすい。
oデメリット:画角が固定されるため、フレーミングの自由度は低い。
•大口径広角単焦点レンズ (例:
24mm F1.8、28mm F1.8など)
oメリット:広い範囲を写せ、水槽全体の雰囲気を捉えやすい。明るいものが多い。
oデメリット:画角が固定される。魚を大きく写すには近づく必要がある。
•F2.8通しの標準ズームレンズ (例: 24-70mm F2.8、APS-C用17-50mm F2.8など)
oメリット:ズーム全域でF2.8の明るさを維持でき、様々な画角に対応できる。
oデメリット:大きく重く、高価になりやすい。
•マクロレンズ (例: 60mmマクロ、90mmマクロ、105mmマクロなど)
oメリット:小さな魚や細部を大きく、シャープに写せる。多くの場合、通常の単焦点レンズとしても優秀。
oデメリット:AFが遅めのものがある。ワーキングディスタンスを考慮する必要がある。
•手振れ補正付き望遠ズームレンズ (例:
70-200mm F2.8、APS-C用55-250mm
F4-5.6など)
oメリット:混雑を避け後方からの撮影が可能となる。
イルカショーをより大きくダイナミックに狙う事ができる。
手振れ補正によりファインダー内の像が安定する(レンズ内手振れ補正の場合)。
oデメリット:大きく重く、高価になりやすい。
特にF2.8通しなどはとても高価となる。
手振れ補正機能は手振れ防止には有効だが被写体ブレを防ぐことは出来ない。
特に魚のような不規則な動きには対応しづらく、やはり早いシャッタースピードが必要となってくる。
(2)魚たちをスターにする撮影テクニック
最適なレンズを選んだら、次はカメラの設定と撮り方です。
【ISO感度を適切に調整する】
暗い環境下では、ISO感度を上げてカメラが光を感知する能力を高めます。
ただし、上げすぎると写真にノイズ(ザラつき)が発生するため、ご自身のカメラで許容できる範囲を見極めることが重要です。
【シャッタースピードで動きを止める】
素早く泳ぎ回る魚たちの動きを止めるには、シャッタースピードを速くするのがポイントです。
最低でも1/125秒、できれば1/250秒以上のシャッタースピードを確保できると安心です。
更にイルカショーでは1/500秒は欲しいところです。
レンズの明るさやISO感度とのバランスを考慮しながら設定しましょう。
【ガラスの反射を抑える工夫】
水槽のガラスに自分が映り込んでしまうことはよくあります。
これを防ぐには、レンズフードをガラスにそっと密着させるのが有効です。
また、黒っぽい服装で撮影に臨むのも、意外と効果があります。
【上級者向けの「RAW撮影」】
もしお使いのカメラでRAW(ロウ)形式での撮影が可能であれば、ぜひ試してみてください。
この形式で保存されたデータは、後からパソコンで明るさや色合いなどを調整できるため、よりイメージに近い作品に仕上げることが可能です。
(3)誰もが気持ちよく楽しめる水族館マナー
楽しい撮影も、周囲の方々への配慮を欠いては台無しです。
以下の点に注意し、スマートな撮影を心がけましょう。
【フラッシュ撮影は厳禁!】
フラッシュの強い光は、魚たちを驚かせ、ストレスを与えてしまいます。
また、周囲の来館者にとっても眩しく不快なものです。
フラッシュは必ずOFFに設定してください。フラッシュを使用してもガラスに反射してどのみち撮影は出来ません。
【水槽を叩く行為は控える】
魚たちは非常にデリケートです。水槽を叩いたり、音を立てたりする行為は、魚たちに多大なストレスを与えます。
静かに鑑賞し、見守ってあげましょう。
【三脚・一脚は使用禁止】
混雑している場所での三脚や一脚の使用は、他の来館者の通行の妨げになるため、または設備や生態への影響などから禁止されている場合がほとんどです。
手持ちでの撮影を行いましょう。
【撮影場所の占有は控える】
人気の水槽前を長時間占有することは、他の来館者が見たいという気持ちを妨げる行為です。
譲り合いの精神を持ち、皆が楽しめるよう配慮しましょう。
(4)週末カメラマンに贈る「お子様優先」の心遣い
週末の水族館は、目を輝かせたお子様たちで賑わいます。
そんな時は、少しだけ「大人の余裕」を持って、お子様たちの鑑賞を優先してあげてはいかがでしょうか。
【お子様の視界を遮らない】
お子様たちは背が低いため、大人が前に立つと水槽が見えなくなってしまいます。
撮影に夢中になり、お子様の視界を遮ってしまわないよう、少しだけ気を配りましょう。
また望遠レンズを使用して離れた位置からの撮影も試してみましょう(但し通路を挟む場合は通行人にも配慮が必要)。
【魔法の言葉「どうぞ」】
もしお子様が水槽に近づいてきたら、「どうぞ」と笑顔で場所を譲ってあげてください。
その心遣いは、きっと保護者の方々にも喜ばれ、温かい気持ちが巡り巡ってご自身にも返ってくるはずです。
【写り込みへの配慮】
魚をメインに撮影していても、意図せずお子様が写り込んでしまうことがあります。
SNSなどに写真をアップする際は、個人が特定できないようぼかしを入れたり、スタンプで隠したりといった配慮を忘れずに。
【周囲への注意を忘れずに】
大きなカメラやレンズは、振り向いた際に人にぶつかってしまう可能性があります。
特に混雑している場所では、周囲に十分気を配り、安全に撮影を楽しみましょう。
まとめ ~思いやりとテクニックで、水族館フォトをもっと楽しく!~
水族館での撮影は、奥深く、そして非常にクリエイティブな体験です。
最新のカメラや高性能なレンズも素晴らしいですが、最も大切なのは「魚たちへの愛情」と「周囲への思いやり」に他なりません。
今回ご紹介したレンズ選びのヒントや撮影テクニック、そして何よりも大切なマナーを守ることで、きっとこれまで以上に水族館での撮影が楽しく、そして心温まるものになるでしょう。
皆様の素敵な一枚、心より楽しみにしています!