2025/04/22 09:00
このシリーズも3回目ですね。
前回は自身が撮影時に気を付けていること、そこに至るまでの黒歴史に触れてみました。
さて今回は、実際に動物園に行って撮影する際に抑えておきたいポイントを考えていきましょう。
(1)季節で変わる撮影の楽しみ
季節によって動物たちのようすも変わります。
シャッターチャンスはその変化の分だけ訪れます。
①
春:動物も人間もウキウキする季節
多くの動物が出産・子育ての時期を迎えます。
愛らしい赤ちゃん動物たちの姿は、まさにシャッターチャンスの連続です。
最近ですと東武動物公園で生まれた2匹のホワイトタイガーの赤ちゃんが話題です。
ケガにより一時公開中止となっていましたが、リハビリも兼ねて4月から公開しています。
*現在の状況は東武動物公園HPをご覧ください。
冬眠から目覚めた動物たちが活発に動き出す様子や、求愛行動なども見られるかもしれません。
伊豆のシャボテン公園ではクジャクが放し飼いの状態で園内を歩いています。
運が良ければ求愛されるかもしれません。
動物たちのいきいきとした表情や、親子の触れ合いなどを捉えましょう。
②
夏:日本の夏は暑すぎてモーたまらん
暑さを避けるために、動物たちが水浴びをしたり、日陰で休んだりする姿が多く見られます。
集団で寝そべるカンガルーの「客の目など気にしません」的な感じが笑いを誘います。
動物たちが夏バテしないように、動物園側も様々な工夫を凝らしています。
寒い地域の動物には冷房完備の獣舎を用意し、水遊びが好きな動物には水場やプールを設置する。
また凍らせた野菜やフルーツ、氷を与えるなどの夏バテ対策を行います。
もしかすると涼しい獣舎で尊厳を失っただらしないオオカミに出会えるかもしれません。
③
秋:食欲の秋、ご飯がうメェ~
動物たちが冬に備えて食欲旺盛になり、食料を蓄える行動が見られます。
一部の動物では皮下脂肪を蓄えることで体形の変化が見られることがあります。
動物によっては、冬毛に生え変わる様子も観察できます。
エゾユキウサギやホッキョクギツネは冬になると茶色っぽい毛から真っ白な毛に生え変わります。
これらは雪の中で身を隠すための保護色と考えられます。
食欲旺盛な動物たちの食事シーンや、紅葉と動物たちの美しいコントラストを捉えましょう。
④
冬:寒いから体調にはチューいしようね
寒さに弱い動物たちは、屋内や暖かい場所で過ごすことが多くなります。
お風呂の設置や風除け、食事の工夫など動物ごとに様々な寒さ対策を行います。
動物園では冬眠展示を行っているところもあります。
冬眠とは食べ物の少ない冬の時期を乗り切るための生存本能であり、野生では若干のリスクが伴います。
動物園のように食べ物に困らない環境では行う必要はありませんが、冬眠展示を行うことによりそのメカニズムや冬眠時の生理機能・行動の変化を観察し、冬眠という現象を学ぶ事ができます。
モニター越しに見る冬眠中のクマはなかなかに可愛いものです。
雪景色の中で遊ぶ動物や、寒さに耐える動物たちの姿など、冬ならではの光景を捉えましょう。
(2)季節ごとのイベント
動物園では来場客に楽しんでもらうために季節ごとにイベントを開催します。
普段とは違う動物たちの姿を写真におさめましょう。
①
春 (3月~5月)
•春の動物園まつり: 動物たちの繁殖シーズンに合わせたイベントや、赤ちゃんにちなんだ催し(公募した名前の発表など)、いろいろな体験イベントが開催されます。
•イースターイベント: 卵を使ったクイズラリーや工作教室、動物にちなんだイースターエッグの展示などが行われることがあります。
うさぎと一緒に写真が撮れるイベントもあります。
•GWイベント: 動物との触れ合い体験、工作教室、スタンプラリー、クイズ大会などゴールデンウイークは子供向けのイベントが多数開催されます。
また子供の日(5/5)は入園無料や割引もあります(*サービスの有無や対象年齢などの詳細は動物園にご確認ください)。
②
夏 (6月~8月)
•夜間開園 (ナイトズー): 通常の閉園時間を延長し、夜の動物たちの様子を観察できる特別なイベントです。
普段見られない動物の生態や、ライトアップされた幻想的な雰囲気などが楽しめます。
ナイトズーは本当に暗いので撮影は慎重に行わなければなりません。
欲を言えばフルサイズデジタル一眼で感度がISO6400以上、F2.8クラスの望遠ズームレンズを用意したいところです。
またオートでのピント合わせが難しいので手動によるピント合わせが必要となります。
•夏の動物園まつり: 春の動物園まつり同様に特別な体験や観察ができます。
動物たちにスイカや氷のプレゼントをしたり、プール(動物用)やミスト(人間用)を設置したりするなど、暑さ対策にも余念がありません。
•昆虫展: 夏に活発になる昆虫に焦点を当てた展示や、観察会、触れ合い体験などが行われることがあります。
③
秋 (9月~11月):
•秋の動物園まつり: 動物たちの食欲が増す秋にちなみ、食に関するイベントや、収穫祭のような企画が行われることがあります。
•ハロウィンイベント: ハロウィン用の装飾、仮装した飼育員によるガイドツアー、子供向けの仮装パレードなどが行われたりすることがあります。
ハロウィンナイトと称して夜間開園を行う動物園もあります。
動物園によってハロウィン特別ガイドも用意されます。
•動物感謝祭: 9/20~9/26に定められた動物愛護週間に関連して動物たちへ感謝を伝えるイベントが多くの動物園で開催されます。
④
冬 (12月~2月):
•クリスマスイベント: 動物たちへ特別なおやつのプレゼント、特別ガイドツアー、クリスマス装飾、クリスマス仕様のパレードなど見所満載です。
•お正月イベント: 新年のあいさつ、干支にちなんだ動物の紹介やイベント。獅子舞が見られる動物園もあります。
•節分イベント: 動物たちが豆まきをしたり、恵方巻に見立てたエサを与えたりする様子などが公開されることがあります。
鬼や恵方巻に扮した動物たちに会えるかもしれません。
•バレンタインイベント: 動物たちの恋愛事情を盛り込んだガイドツアーがあったり、バレンタインにちなんだ特別な食事が与えられたりします。
•カピバラ温泉: 冬の風物詩として、カピバラが温泉に入る様子を公開する動物園が多くあります。
あまりの愛らしさに、気づけば写真フォルダが無数のカピバラで埋め尽くされ、後の整理に苦労したりします。
⑤
その他:
•動物の誕生日イベント: 人気の動物の誕生日には、特別なエサのプレゼントやイベントが行われることがあります。
•バックヤードツアー: 普段は見ることのできない動物園の裏側を見学できるツアーが開催されることがあります。
•飼育員によるガイドツアー: 飼育員が動物の生態や面白いエピソードなどを解説してくれるガイドツアーが定期的に開催されます。
•写真コンテストや絵画コンテスト: 動物をテーマにした作品を募集するコンテストが開催されることがあります。
【しっかり確認しましょう】
季節ごとに変化していく動物たち、そして開催されるイベント。
一年を通じ撮影を楽しめる動物園ですが、園の都合や生き物を扱っている関係から上記のイベントが、どの動物園でも見たり体験できたりするわけではありません。
•開催時期や内容は動物園によって大きく異なります。
•イベントは期間限定で開催されることがほとんどです。
•詳細は必ず各動物園の公式サイトや広報物で確認してください。
まとめ
今回は季節ごとの変化と楽しみ方についてお話しました。
動物も人間と同じく暑かったり寒かったり、元気な時もあれば落ち込んだり疲れてしまう事もある。美味しそうにご飯を食べる、特別なおやつに喜ぶ、お腹がふくれて眠くなる、時にはケンカもする、そして恋をして新しい生命が誕生する。実に様々な姿を見せてくれます。
そんな姿を見逃さないために、公式サイトやSNSなどをこまめにチェックしましょう。
動物たちの楽しいイベントに参加する機会も増えていきます。
季節ごとに動物たちの行動を観察し、より深く動物たちの生態を知ることで撮影の幅も広がる事でしょう。