2025/03/25 09:00
徐々に暖かい日が増えてきて、いよいよ春の訪れを予感させます。
春になると新しい生活が始まり何かと忙しくなりますが、ちょっとカメラを持って出かけてみませんか。
街が明るく活気づき、花は咲き草木が芽吹く、春はいつも見慣れた風景に新しい色を添えてくれます。
春は生命が輝く季節でもあります。
春の訪れを待ちわびた生き物たちが一斉に動き出します。
さあ、カメラを持って野生の王国へ・・・というわけにはいかないので動物園に行きたいと思います。
1.
撮影前に知っておきたいこと~注意点~
(1)動物への配慮
・フラッシュの使用は全て禁止されていると思った方が良いでしょう。
動物の目は人間より光を感じやすい構造のため、フラッシュのような強い光は網膜を損傷させる恐れがあります。
また瞬間的に視界を奪われることによりパニックを引き起こす可能性があります。
・大声を出す、動物を挑発するような行為は控えましょう。
これは動物のみならず、見る側の人間の安全のためでもあります。
・動物によっては、撮影自体がストレスになる場合もあります。
動物の様子を観察し、負担にならないようにしましょう。
(2)安全への配慮
・柵や檻に近づきすぎないようにしましょう。
実際に柵から転落し死亡事故に繋がるケースが発生しています(転落後に動物に襲われる)。
・動物によっては、予期せぬ行動をとることがあります。常に周囲の状況に注意しましょう。
・動物園のルールや指示に従いましょう。
(3)撮影許可の確認:
・動物園によっては、撮影許可が必要な場合や、特定の場所での撮影が禁止されている場合があります。事前に確認しましょう。
・三脚や一脚の使用が禁止されている場合もあるので、事前に確認しましょう。
人間を襲った動物がその後どうなるか、人間側の危険行為が原因の場合は動物側に責任なしとなるケースもあるそうです。
その他、関係した動物を別の動物園へ移動したり、知能が高い動物(霊長類など)の場合は原因行動の研究を行う目的で隔離したりすることもあるようです。
さらに肉食獣においては安楽死の可能性も出てきます。
動物と人間、双方の安全を守るためにルールは守らなければならないのです。
2.撮影前に知っておきたいこと~撮影のコツ~
動物は動き回って思い通りに撮影ができなかったりします。
とは言っても動物園の限られた空間、ちょっとしたコツがわかれば難しくないのです。
(1)動物の生態を観察する
・動物の習性や行動パターンを観察すると、撮影のタイミングを掴みやすくなります。
・行動パターンの観察により動物の動きを予測し、シャッターチャンスを逃さないようにしましょう。
(2)構図を工夫する:
・動物だけでなく、背景や周囲の環境も取り入れることで、より魅力的な写真になります。
・ローアングルやハイアングルなど、様々な角度から撮影してみましょう。
但しほとんどの動物が柵越し、檻越しなので無理はしないようにしましょう。
スマートフォンを象に取られて排泄物から取り出した有名なエピソードもあります。
・動物の目線に合わせて撮影することで、親近感が湧く写真になります。
(3)光と影を意識する
・自然光を活かして、動物の表情や質感を捉えましょう。
・逆光や斜光など、光の当たり方を工夫することで、ドラマチックな写真になります。
夕方の動物園では夕日の射しかたでとても面白い写真が撮れる可能性が高いです。
(4)連写機能を活用する
・動きの速い動物を撮影する場合は、連写機能を活用しましょう。
・連写した写真を後で確認し、ベストショットを選びましょう。
タスマニアデビルはとにかく動き回ります。
ご飯と寝る時しか止まらないくらいに動きます。
動きを予測してもシャッターが追いつかず、被写体ブレを起こしてしまいます。
300mm望遠でシャッタースピードを1/500に設定してAF追従と連写で追いまくりました。
(5)ガラス越しの撮影:
・ガラスにレンズをできるだけ近づけることで写り込みを防ぎクリアな写真が撮れます。
・ガラスの汚れが少ない場所を選ぶ。
・望遠レンズで動物を大きく写す。
・ガラスから離れた位置にいる動物を選ぶ。
・園のルールが最優先ですので「ガラスにふれないでください」と書いてあればそれを守ってください。
撮影時に動物と目を合わせることは出来れば避けた方が良いかなと思います。
理由としては動物と短時間でコミュニケーションを取るのは不可能だからです。
目を合わせる行為は「敵対の意思」を示す場合が多く、動物に警戒心を抱かせるかもしれないのです。
連写に関しても注意が必要です。
失敗しないための選択として連写は有効ですが、連続するシャッター音が動物のストレスとなる場合は避けるべきです。
動物がシャッター音に反応する素振りを見せたら、一旦撮影は止めましょう。
3.撮影の前に知っておきたいこと~レンズの特性~
動物園内では動物に一定の距離までしか近づけません。
それぞれのシチュエーションに合わせたレンズ選びは重要となります。
(1)望遠レンズ
・動物との距離が離れている場合や、動物の表情をアップで撮影したい場合に便利です。
また、動物との距離が離れるため、ストレスを与えずに自然な様子を撮影できます。
・70-200mmや100-400mmなどの望遠ズームレンズがおすすめです。
動物園では望遠レンズが活躍するでしょう。
安全のため一定の距離を保つ状況で動物を大きく撮影したり、小さな動物を大きく撮影したり、またボケ味を活かして動物の表情を際立たせたり、被写体に迫った撮影が可能です。
(2)広角レンズ
・動物と周囲の環境を一緒に撮影したい場合や、動物の群れを撮影したい場合に便利です。
・ふれあい広場のような動物との距離が近い場合や、象のような大きな動物を近い位置で撮影するのに適しています。
・16-35mmや24-70mmなどの広角ズームレンズがおすすめです。
展示の全景を写したり、群れでいるとこを写したりと被写体と一緒に場所などの状況を説明できるのが広角ズームレンズの良いところです。
可能であれば広角特有のゆがみを利用して顔のアップを撮影するのも面白いです。
俗に望遠レンズは「被写体を切り抜く」、広角レンズは「空間を切り抜く」などと言われていますが、それぞれの特性を活かし動物たちの素敵な瞬間を切り抜いてください。
まとめ
動物園で撮影するための注意点、撮影のコツ、レンズの特徴を説明してきました。
動物の撮影は、お互いの安全を確保しつつ行わなければなりません。
どんな撮影の現場にも言えるのですが、傑作はルールを守って初めて生みだされます。
動物への思いやりとリスペクトを忘れなければ彼らはきっと応えてくれるでしょう。