2025/01/28 21:00
はじめに
ソニーは、2025年1月23日に、同年2月をもって録画用ブルーレイディスクの全モデルの生産を終了することを発表しました。
2024年7月に「段階的に縮小させる」と報道されていた記録メディアの生産終了が、正式に決定されたものです。
録画用ブルーレイディスクのほか、録音用ミニディスク、記録用MDデータ、ミニDVカセットの全モデルの生産が終了することとなります。
録画用ブルーレイディスクは、パナソニックも2023年2月に生産を終了していますので、日本を代表する2社はともに生産終了となりました。
この背景には、オンデマンド配信を中心としたビデオ視聴スタイルの変化や、クラウドデータ保存の普及などがあります。
映像やデータの記録メディアの変遷について考えさせられる大きなテーマです。
今回は、この発表が指し示す記録メディアの未来と、私たちがとるべき対策についてまとめていきます。
1.光ディスクの変遷
DVDやブルーレイディスクなどの光ディスクは、一時は世界的に人気の高い記録手段でした。
1980年代にCDが、従来のレコードに代わり音楽を記録する媒体として製品化され、コンピュータ用のデータを記録する媒体にもなりました。
その後、2000年代以降にはCDの約6倍の4.7GBの記録容量を有するDVDが光ディスクの主要な媒体として広く一般で利用されるようになりました。
ブルーレイディスクはDVDに少し遅れて開発され、2003年に製品化されました。
記録容量はDVDの約5倍となる約23GBであり、より高画質な映像作品を楽しむことができるメディアとなりました。
DVDとブルーレイディスクは、ともに、ビデオテープに代わる映像の記録媒体となり、大容量記録メディアの代表格として広く一般に浸透しました。
2012年時点では、DVDは国内販売数量が前年比14%減の4億7100万枚であったことに対し、ブルーレイディスクの世界出荷数は前年比20%増の2億3,100万枚と、普及の勢いはブルーレイディスクにありました。
2.記録メディアの現状
1980年代に開発されてから、長く音楽用のメディアの中心であったCDは、近年はダウンロードやストリーミングなど音楽配信の浸透により、そのシェアを縮小しています。
2022年時点の日本レコード協会の統計によると、オーディオレコード(CDなど)の生産金額は1,349億円となっています。
これに対してダウンロードやストリーミングなど音楽配信の売上実績は1,050億円と過去最高となりました。数年のうちにはCDなどを逆転すると見込まれています。
音楽と同様に映像の分野でも、2020年の調査では、動画配信サービスの利用率が、DVDレンタルサービスを上回るなど、配信が主流になっています。
また、ハードディスクドライブ(HDD)の大容量化は、DVDなど光学ディスクに代わる利便性の高い記録媒体として、広く一般に利用されるようになりました。
このような背景から、現在、記録メディアの市場は大きな変化の中にあります。
今回のソニーによるブルーレイディスク生産終了の発表は、この変化の象徴といえます。
3.クラウドサービスの便利性
音楽や映画のネット配信が広く一般に浸透してきたように、写真などのデータを保存する記録メディアとしてのクラウドストレージサービスも、普及が広がっています。
クラウドストレージとは、インターネット上のサーバーにファイルを保存するオンラインストレージです。
利用者はインターネットに接続されたパソコンやスマートフォンなどのデバイスから、サーバーにデータをアップロードしたり、ダウンロードしたりすることができます。
これにより、資料の共有や保存が便利になり、CDやDVDなどの光ディスクを使用する必要性が減少しています。
4.デジタル化の加速
現在展開されているクラウドストレージサービスは、家庭用データや会社の業務用データの保存がしやすいように作られています。
たとえば、「Google Drive」や「Dropbox」、「box」などは、汎用性や使い勝手の良さから利便性が高く、セキュリティの信頼性も高いものになっています。
また、「Googleフォト」や「icloud」の写真サービスは、スマートフォンのアプリとして標準化されているため、クラウドストレージサービスを身近なものにしています。
これらはスマートフォンの利用者はほとんどの方が利用していることになり、これからもっと馴染み深く、理解されていくサービスになると考えられます。
これにより記録メディアの未来は、クラウドサービスが主流となると予想されます。
半面、光ディスクやハードディスクの存在意義は少しずつ薄れていくと考えられます。
5.私たちにできる対策
(1)記録メディアの更新
ソニーはブルーレイディスクの生産終了を発表しましたが、2025年1月時点で、Verbatim(バーベイタム)、マクセルなどの他社は販売を行っており、すぐにブルーレイディスクが無くなってしまうというわけではありません。
しかし、将来に向けて大切なデータを残していくためには、ブルーレイディスクに限らずデータを保存する記録媒体を更新していくことはとても重要です。
さらに、バックアップという観点から、保存する記録媒体は2種類以上にすることが推奨されます。
例えば、パソコンのHDDに保存している場合は、バックアップとしてDVD、外付けHDD、外付けSSD(Solid State Drive)などの一つ以上に保存するなどしましょう。
SSDは、外見はHDDに似た形状ですが、HDDが磁気ディスクにデータを記録する方式であることと違い、半導体基板に直接データを記録するものです。
HDDと比較すると物理的な故障が少ないと言われ、寿命もHDDより長いとされています。
2025年現在としては、SSDが最もおススメの記録媒体と言えそうです。
これらの記憶媒体の寿命は、一般的に言われているところでは
DVD 5~10年
HDD 3~4年
SSD 4~5年
とされています。
また、将来の技術の進歩によって、DVDを読み込む機器が少なくなったり、USBケーブルの規格が変わったりして、これらが使用できなくなる可能性もあります。
そのためどのような記録媒体であっても数年に一度は、その時代にあったものにデータをコピーして、更新していく必要があります。
これが、私たちにできる対策として最も大切なことです。
これらの記憶媒体と、クラウドストレージサービスを合わせて利用すると、データの保存の安全性はかなり高くなります。
(2)クラウドストレージサービスの利用
DVD、HDD、SSDなどの記録媒体は、どうしても寿命があるため、また、技術の進歩による規格の変化に取り残される可能性もあるため、時代に合わせて機器を更新していく必要があります。
そこで、注目されるのはクラウドストレージサービスです。
クラウドストレージサービスは、機器を更新する必要がありません。
信頼のおけるサービス提供者を利用すれば、超長期にわたって手間をかけずにデータを保存することが可能です。
もちろん、サービスが終了する可能性もあるので注意は必要です。
また、無料のサービスもありますが、記録容量によっては、費用が月額、年額など発生します。
利用にあたってはセキュリティが確保されたサービスを選ぶことが重要です。
たとえば、「Microsoft OneDrive」や「Box」などは、安全性に優れ、大量のデータを保存できます。
またAmazonも写真やファイルのストレージを提供しています。
まとめ
2025年に発表されたソニーのブルーレイディスク生産終了は、記録メディアの未来に関する重要な話題です。
これからの時代は進歩するデジタル技術に、どのように順応していくかが、私たちのデータの保存にとても重要になってきます。
大切なデータを未来に残していくために、時代に適応していくことが求められています。