2025/01/21 09:00
家族の大切な思い出やあらゆる記録を保存するために使用されてきたビデオテープ。
しかし、このビデオテープが今年2025年に不安な状況に突入しています。
ユネスコが「マグネティック・テープ・アラート」として警鐘を鳴らしている通り、保存したい思い出や資料を失う可能性が高まっています。
今回は、ビデオテープの「2025年問題」の概要と、その対応策としてすべきことをまとめていきます。
1. マグネティック・テープ・アラートとは?
マグネティック・テープ・アラートは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)と、国際音声・視聴覚アーカイブ協会(IASA)が2019年7月に開始したプロジェクトです。
その目的は、ビデオテープなどの磁気テープに記録された大量の視聴覚資料を損失する危機への認識を広めるとともに、世界の磁気テープコレクションの調査を通して状況改善にむけたネットワークを作ることにあります。
ビデオテープは1970年代以降、テレビ業界だけでなく、民俗学や人類学、歴史学などの学術、舞台や音楽などの芸術、スポーツなど、あらゆる分野の記録に活用されてきました。
1980年代には、一般に広く普及し家庭や個人でも手軽に映像を撮ることができるようになり、膨大な数のビデオテープに映像が記録されてきました。
それらのビデオテープに記録された映像が、確実に失われていく危機を指摘したものが、マグネティック・テープ・アラートです。
2.問題点
この問題は主に三つの要因から成り立っています。
一つはビデオデッキなどの再生機器の製造終了です。現在、ビデオデッキは新製品が製造されていません。
部品の供給も保守サービスも終了しているため、今後、正常に動作する再生機器を維持できなくなります。
再生機器がなければ、磁気テープの視覚情報を確認することはできません。
また、磁気テープはフィルムのように一コマずつスキャンすることもできません。
二つは経験豊かな技術者の減少です。
ビデオテープ、再生機器ともに、製造や修理の知識を有する技術者が減少しています。
現在稼働している機器が故障した後は、直すことができる人が少なくなっています。
三つはビデオテープ自体の経年劣化です。
物理的な損傷や化学的変化により、再生画像が乱れたり、再生が困難になります。
一般的に言われているところでは、ビデオテープの寿命は20~30年とされており、1990年代に製造されたものも寿命を迎えていることになります。
この問題によって、何十年という期間のあらゆる記録、なかには貴重な文化的遺産までが危機にさらされているのです。
3. 2025年問題に対してすべき二つのこと
私たち一般の個人として、マグネティック・テープ・アラート/ビデオテープの2025年問題に対して、すべきことは非常にシンプルです。
それは、早期のデジタル化とバックアップを含めた保存です。
(1)デジタル化
ビデオテープをデジタル化することで、長期的な保存が可能になります。
デジタルデータは適切なバックアップを取ることで、物理的な劣化の影響を受けることなく、次世代に引き継ぐことができます。
また、デジタル化により、家庭内での視聴が簡単になり、古い思い出をいつでも楽しむことができるようになります。
デジタル化の最も簡単な方法は、DVDレコーダーと VHSビデオの一体型の機器があれば可能です。
但し、このような機器を所有している方は、今となっては少ないのではないかと思います。
また、所有していてもきちんと動作するかはわかりませんし、故障してしまった場合は間違いなくメーカーによる修理は不能とされます。
DVDレコーダーと VHSビデオの一体型の機器は中古市場にも出回っているようですが、購入の費用がかかることと、故障と修理不能のリスクがあります。
具体的な方法としてより現実的なのは、専門の業者に依頼することです。
私たちおもいで写真デジタイズでもビデオテープのデジタル化をすることが可能です。
VHS、ベータ、VHS-C、Hi8、miniDV/DVCなど「ビデオテープ」と呼ばれるものであればデジタル化することができます。
【おもいで写真デジタイズの料金】
料金には往復の配送料と消費税が含まれていますので、とてもお得です。
また、異なる種類のビデオテープでも一度に申し込むことができます。
例えば、10本VHSが9本、miniDVが1本でも10本セットの18,000円となりますので、申込みも簡単です。
(2)保存とバックアップ
デジタル化した後に重要なことは、保存とバックアップです。
デジタルデータは何かの媒体に記録するものであるため、物理的にもデジタル的にも紛失や破損のリスクがあります。
デジタルデータは常に2つ以上の媒体に保存しましょう。
DVDや、外付けハードディスク、USBメモリなどのデジタル媒体、または信頼できる企業のクラウドストレージも良いでしょう。
但し、長期の保存やバックアップには注意点があります。
近い将来で考えると、ハードディスクの寿命は4~5年とされているため、数年ごとに機器を買い換え更新していきましょう。
クラウドストレージは、一定期間利用しないと保存しているデータが消去される可能性があります。
例えばGoogleアカウントは2年間ログインが無かった場合に、アカウントごと削除されることになっています。
これによりGoogleフォトに保存していたデータは全て削除されることになります。
DVDは比較的寿命が長く、一般的には保存状態が良ければ数十年と言われています。
但し、長期では将来の技術の発展によってDVDもビデオテープのように、「DVDディスクアラート」が発せられる日が来るかもしれません。
大切なのは、その時代に合わせた媒体にバックアップして、最新の機器から視聴できるようにデータを更新していく必要があるということです。
機器は数年ごとに最新のものを購入して、デジタルデータをバックアップしましょう。
クラウドストレージは常に利用するアカウントにデータを保存して、出来れば誰かと共有・共用しておきましょう。
4.デジタル化と保存のあとにすべきこと~新たな中長期コンテンツの構築~
撮影した映像や写真をデジタル化して、出来るだけ元のデータに近い状態で保存しておくことはとても意義深いことです。
なぜなら近い将来には、情報処理能力やAIがさらに発達して、過去のデータをスクリーニングして、映像や画像に記録されている歴史を検証する、といったことが可能になるかもしれません。
一方、デジタル化したデータから、新しい形のコンテンツを構築することにもメリットが有ります。
たとえば、家族のビデオを編集して短いストーリー形式にしたり、過去の映像にナレーションを加えてドキュメンタリーとして再構築することができます。
大量にあるデータから、その時必要な部分のみを見やすく楽しみやすい形に再編集し、
SNSや動画配信プラットフォームで共有することが可能です。
これにより、ただ保存するだけでなく、思い出を新たな形で楽しむことができるようになり、新たな中長期コンテンツに生まれ変わります。
5. 実行することが重要
マグネティック・テープ・アラート/ビデオテープの2025年問題は、単なる技術的な問題にとどまりません。
それは私たちの思い出や文化的な遺産を次世代に伝えるための挑戦でもあります。
デジタル化、保存とバックアップ、新しいコンテンツの構築といった具体的な行動を今すぐ始めることが重要です。
大切な思い出を未来へとつなぐために、ぜひ行動を起こしましょう!
デジタル化の場合は、わたしたちおもいで写真デジタイズを是非ご利用ください。
プロの技術であなたの大切な思い出を守ります。